日本糖尿病学会 認定専門医 指導医
宇都宮東病院副院長 門田 悟
糖尿病の怖さ・・・糖尿病性壊疽を併発したAさんのケース
60歳代のAさんは40歳ころからのII型糖尿病で、近くの病院から経口血糖降下剤を処方されていました。自覚症状が殆どなく、仕事も忙しかったため、朝食前血糖が150~200mg・dl、HbA1c 9%台とコントロールが不良であったにもかかわらず、それほど気に留めていませんでした。食事療法、運動療法は守られていませんし飲酒もほぼ毎日でした。
60歳で定年になってからも同じような生活が続いていました。しかし、糖尿病の合併症は静かに進行していたのです。左足底部の胼胝(たこ)を自分で少しづつ削っていたところ、しだいに潰瘍になり、更に細菌感染を伴って短期間のうちに骨も露出する壊疽になってしまいました。糖尿病による末梢性神経障害があるため痛みも感じず、ここまで放置してしまったのです。保存的治療の限界を超えており、下腿の下ほどから切断せざるを得ませんでした。
手術前夜、自室のベッドでさめざめと泣いていましたAさんですが、手術後は積極的に自己管理を行うようになりHbA1cも6%台と良好な血糖コントロールを維持しています。