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【高齢福祉部通信20】どうなる介護保険~保険あって介護なし?~

2014年7月 5日

医療や介護保険制度の見直し・改革を一体的に進めようとする「地域医療・介護総合確保推進法」が成立し、2015年度から順次施行となった。改革の主眼を考察すると、膨張する医療費・介護報酬をどう抑制するかであるような気がする。介護保険料のアっプ、収入によって自己負担額を1割から2割へなどである。負担の問題は約10兆円を超える介護費用から、若千やむを得ない面もあるが、問題は要支援者に対する介護予防給付のうち、訪問介護・通所介護(デイサービス)を介護保険から外し、市町村が独自に運営する制度への移行であろう。実施内容や報酬は市町村が定めることとなる。国はその受け皿として、ボランティアやNPO、住民組織などを想定しているが、果たしてニーズやサービスの質の確保が担保できるであろうか。
報酬単価によっては既存事業者の撤退も考えられよう。要支援者に対する介護予防サービスは、重度化を防止するために有効であり、本人・家族の介護支援に止まらず、長期的に見れば「要介護状態」になることを遅らせることとなり、結果的には介護費用の削減につながることとなる。

 

今日、社会福祉サービスは地方分権の下、その権限が市町村に移管され、住民に最も近い基礎自治体である市町村が担うこととなっているが、首長の考えや財政上などの問題から「市町村階差」が存在していることも事実である。要支援者に対するサービスが国の制度から外れ、市町村独自に実施することになれば、その格差がさらに広がることが懸念される。また、約400万人とも推計される認知症予備軍のケアはボランティアなどの組織で対応できるかも疑問である。

 

住民は県民でもある。県は市町村の実態を十分把握し、新たな格差が生じないよう市町村支援と調整を図るべきであると考える。私たち介護事業者も国や県・市町村の動向を踏まえ、サービスの低下を来さず「良質かつ適正なサービス」の提供に努力しなければならない。

 

高齢福祉部顧問 山田 昇

 

 

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