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【高齢福祉部通信23】 「苦情対応」と利用者の「つぶやき」について

2014年10月 3日

 

施設や居宅支援サービスにおいて、すべての面で「完全な介護サービス」が提供されているとは考えられない。しかし私たちにはできるだけ利用者や家族の願いに応える介護実践が求められるし、日々それを目標に努力してかなければならない「使命」がある。社会福祉法・介護保険法では利用者及び家族などの「苦情対応・解決」に応する規定を設け、事業所内に「苦情受付担当者」「苦情解決責任者」の配置が義務付けられ、それでも解決困難な場合には「県運営適正化委員会」での対応を定めている。

このように、サービスの受給が選択・契約に基づく利用者と事業者の「対等の関係」を前提として成立する中で苦情処理は「良質かつ適切なサービス」提供するため非常に重要な意義を持つといえよう。

 苦情の内容はさまざまであるが、一般的には①契約・重要事項説明事項の内容と実際の介護サービスの相違 ②不適切な介護支援・利用者とのコミュニケーション不足への不満 ③食生活や生活環境の不便さ ④連絡・相談報告などの遅れ ⑤関係者や相談機関からの指摘、など多様な要因によって顕在化する。サービス受給者・家族は「介護をお願いしている」という心理的な面から、多少、改善を要望したいと思っても躊躇してしまう傾向もあろう。

介護支援サービスについて、「苦情」として出ることの対応は当然であるが、苦情として顕在化する前の対応も要であり、苦情に関する職員の意識と認識が大事であろう。

私たちは、ともすれば利用者・家族の訴え・願いなどを「大したことはない」「過大な要求」「我がまま」「集団生活だからやむを得ない」「職員の手がたりない」「施設の方針だから」などと思い込んでいないであろうか。

情は苦情として表面的に顕在化してから対応すべきものではなく、常に利用者や家族との関係の中で把握して対応すべきである。利用者や家族の何気ない「つぶやき」や「独り言」の中にも苦情は考えられるはずである。苦情から「学ぶこと」も少なくない。

10月から下半期に入るが、心して「利用者から学び」「良質かつ適切な介護サービス」の提供に努めたいと思う。

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