高齢福祉部通信

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北斗会広報誌

高齢福祉部通信

高齢福祉部通信では、医療法人北斗会 高齢福祉部 顧問 山田 昇が、本法人が提供している介護保険サービスに関する様々な情報や活動・取り組みなどをお知らせしていきます。

「高齢福祉部通信」休止のお知らせ

2016年3月31日

いつもブログをご覧いただきありがとうございます。


さて、ブログを更新しておりました 医療法人北斗会 高齢福祉部 顧問 山田 昇 が、

3月31日をもちまして退任となりました。

それに伴いまして、「高齢福祉部通信」を休止させていただくことになりました。

長らくご覧下さった皆様、ありがとうございました。


引き続き、四つ葉のクローバーでは、最新情報を掲載しております。

今後ともよろしくお願いいたします。

高齢福祉部通信

【高齢福祉部通信40】認知症鉄道事故 家族を免責(最高裁判所)―愛知県大府市 認知症男性(当時91歳)「要介護4」―

2016年3月 3日

 3月1日最高裁第3法廷は、当時85歳だった妻がうたた寝をした隙に外出・徘徊し駅構内で電車にはねられ死亡、JR東海が遺族側に損害賠償を求めた訴訟に 「免責」の判決が下りました。民法は責任能力のない人の与えた損害は「監督義務者」が賠償する旨を規定していますが、認知症の徘徊のように注意していても防ぎきれない事故の賠償責任までは負わないとする今回の判決は、在宅介護の現場に影響を与えそうです(3月3日付各新聞報道)。


認知症の高齢者は国の推計によると現在約520万人、2025年には約700万人(65歳以上の高齢者5人に1人)とされていますが、在宅介護の困難さを改めて考えさせられます。徘徊防止と身体拘束、高齢者虐待防止法との関係、高齢の配偶者が認知症の高齢者を介護することの困難性、介護疲れによる殺人や心中事件など、今後どのような対応と支援が必要なのか、本格的な対応が求められます。


国は特養等の整備を約40万床増設する構想ですが、そう簡単に増床が図れるとは考えられません。その代替的な施設が介護サービス付き有料老人ホームなどですが、先般の介護職員による殺人事件やその他の不祥事が多発しています。サービス提供量に人材と質・レベルがついていかない結果でしょうか?


認知症の在宅介護の困難性を多方面から審議・検討した今回の最高裁判決は、関係者に好意的に感じられているようですが、ここで注意しなければならないことは「在宅介護と施設介護の相違」です。施設は家族などとの契約によってサービスを 提供するものであり、常に介護の責任が伴います。在宅のように「賠償責任が免責」されるわけではありません。


個別支援とリスク管理・マネジメントの視点から認知症の対応を改めて考え直す必要があります。

高齢福祉部通信

【高齢福祉部通信39】退職者1年未満316人・1年~5年829人 退職者全体の72%

2016年2月10日

 栃木県民間社会福祉施設退職手当共済財団が機関紙に掲載した数字である。平成26年度の退職者(被共済職員)1,589人にうち、1年未満を含めて5年未満までが1,145人で72%を占めている。


 財団加入の施設等は保育所等の児童福祉施設・高齢者・障害者関連施設であるが、入職して5年以内に約72%の職員が退職していることは意外で驚きでもある。施設種別ごとの数字はないが全体の傾向としては高齢者関連施設が多いような気がする。国が先般発表した「有効求人倍数」によれば関東地域2.59倍、東京は4.75倍以上となっている。退所の理由は明らかではないが、卒業した学生の話では、十分な訓練や助言などを受けないまま直ちに職場に配置され、戸惑い、悩んで相談する相手もいないまま退職せざるを得なかった。先輩・上司の指導が厳しかった、などが挙げられていた。


 介護支援の現場は、多様な養成課程・コース、年齢や経験、キャリアが異なる職員集団であり、新人が職場に馴染むためには教育・研修担当者の配置がぜひとも必要となる。  職員不足に離退職者の減少・防止対策も大事である。北斗会は現在、職員教育・研修計画を策定中であり、体系的・継続的な教育・研修を推進することとしているが、それらを生かすのは職場である。職員を支える職場教育と支援体制が必要となる。各職場に「教育担当者」を配置したいと考えている。また、3月には職員の子どもを預かる保育所が新築・開所する。安心して働ける福利厚生の充実も離退職の防止にもつながると思う。

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【高齢福祉部通信38】安全・安心そして癒し・安らぎを!

2016年1月 8日

 「安全・安心」は高齢者の居宅・施設支援を問わず、利用者支援の基本原則である。転倒・誤飲・誤薬・怪我・健康管理などの事故防止・リスク管理は職員一人ひとりの意識と取り組みが必要であるが、チームとして「ほうれんそう」を基本とした組織全体の対応が必要となる。平成28年は改めて介護支援の環境の点検や改善の取り組みを重点的に推進する必要があると考える。


 また「癒し・安らぎ」の充実も重点目標にしたい。ともすれば入所施設での「個別的ケア」や「こころのケア」は集団生活優先の流れの中で見落とされがちであろう。家族から離れ、全く異なった生活環境に身を置かざるを得ない利用者の心情を考えれば、一人ひとりに「寄り添うケア」の実践が求められる。これは職員の配置体制や職員の対応等に大きく左右されるが、創意工夫と改善を図り、利用者・家族が満足する支援を図りたい。これらがシルバーホームだけではなく、北斗会全体への信頼と期待感につながると考える。


  新年を迎え、改めて、施設とは、施設サービスとは、私たちの取り組みが目指すものとは、を考えたいと思う。


 さらに、居宅支援の取り組みも重要である。先般、県北のある市で約10年間妻を介護していた夫が妻を殺害、自首し逮捕された。「胸の痛く」なる事件である。報道によれば在宅サービスを利用しており、ケアマネージャーなどとの接触はあったが、関係者はその気配には気付かなかったようであり、近所の住民も「相談してくれたら」というコメントをしている。老老介護の問題は深刻であり、これまで対応の遅れが指摘されてきた。このケースは介護サービスは利用はしていたが、介護者の「精神的ケア」はどうであったかを考えさせられる。 高齢者の福祉は、基本的には対象者である「高齢者の支援」を図るものであるが、このケースのように介護者の福祉・支援も大事である。私たちは利用者の支援を通して、家族の介護負担の軽減や精神的ケアを図ることも必要である。「何でも気軽に相談できる」北斗会・高齢福祉部でありたいと考えているところである。

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【高齢福祉部通信37】「1億総活躍社会」と「特養など整備40万人」

2015年12月 5日

  安倍首相は「1億総活躍社会」を打ち出し、その大きな柱として家族の介護のため離職する(約10万人)現役労働者の離退職防止を含めて、都市部でニーズの高い特別養護老人ホームなどを2020年初頭までに40万増床することを打ち出した。介護のために離退職せざる得ない現役労働者の確保の視点もあるであろうが、施設の増設・増床はそう簡単ではない。現在、介護保険の総費用は約10兆円、2025年には約20兆円が見込まれている。施設を増設すればその費用は増加するし、介護保険を含めた社会保障費は増大する。消費税増税だけで対応は困難であり、社会保険料アップや受益者負担にも影響するであろう。一方では財務省主導による社会保障関係費の抑制方針もある。


このような状況の中で、40万人増が本当に図れるのか疑問を持たざるを得ない。また介護を担う介護福祉士などの人材不足は極めて深刻である。施設を整備しても人材不足から定員を満たせない事業所もある。


国は特養設置などの規制を緩和し、多様な手法を導入しようとしているが、量もさることながら「質の確保」も大事である。昨今の有料老人ホームの入所者転落事故死、虐待等の報道を考えれば、福祉事業の「倫理と法令順守」がなされなければならない。


要介護高齢者対策は、家族の介護力の低下の中で重要であり、早急な対応が必要であるが、施設整備と併せて医療・看護・介護を含めた「在宅ケア」の充実もまた必要である。


また介護のための離職者防止も大事であるが、介護現場職員の離退職防止も急を有する。給与や労働条件の改善なども重要であり、介護職員の養成と確保も合わせて対応することが求められる。

 

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【高齢福祉部通信36】絵手紙クラブ活動とコミュニケーションについて

2015年11月 5日

 入所型施設は、ともすれば人間関係(利用者と職員・利用者相互)が固定し、生活のリズムもマンネリ化する傾向にある。利用者の日常生活に変化をもたらすことが求められるが、その有効な取り組みが「ボランティア活動」の導入であろう。ボランティア活動は施設本来の業務をボランティアに依存するのでなく、利用者の生きがいやコミュニケーション力の向上など、施設では対応が難しい面について外部の力を借りて行おうとするものである。


宇都宮シルバーホームでは約2年前から、県シルバー大学卒業生の絵手紙クラブOBに依頼して「寄り添いボランティア」として利用者との交流や時間を考えて「絵手紙」を描く活動を続けている。この活動を通して利用者間やボランティアとの交流やコミュニケーションが図られ、楽しみにしている利用者も多い。


「下手がいい」「大きく描く」「心の一言」を添える、をモットーとして活動を展開、さらに家族会の際の家族を対象に「絵手紙」活動を紹介し好評を得ている。これらの活動は利用者の生活意欲の向上や生きがい、利用者相互の交流さらに職員の気づきにもつながっている。


今後、利用者のニーズに即した活動の展開について検討し、活気のある施設生活の構築を目指したいと思う。


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【高齢福祉部通信35】介護業務は「特別なもの」かー接遇研修から考えるー

2015年10月16日

  本年度、高齢福祉部は職員研修の重点として「接遇研修」の充実を図ることとし、全職員を対象に実施した。接遇とは第一印象・身だしなみ・挨拶・態度などを含むものであるが、私たちの職務は介護サービスを必要とする高齢者に対して「良質かつ適切なサービス」を提供するものであり、利用者の満足度をより高めることが求められる。そしてこの営みは、顧客のニーズに対応して満足度を高め、利用(営業)実績を挙げる「サービス業界」に通じるものがある。私たちは一消費者として何らかの消費行動を起こす場合、従業員の第一印象や接客態度に大きく左右される。


福祉施設の業務は決して「特別なもの」ではなく、敢えて「特別なもの」として挙げれば、一般の消費者の意識・行動と異なり、サービスを受けている高齢者・家族は「申し訳なさ」などを感じ、不平・不満はあっても率直に言い出せない立場にあり、家族も施設入所という選択に何らかの罪悪感を有し、少しくらいの不満は抑制してしまう心理的傾向にある。


私たちは、これらユーザーの意識・行動に「甘えて」しまい、「特別なもの・仕事」と錯覚し、「上から目線」の接遇に陥ってしまっているのかもしれない。


福祉サービスの受給は、基本的には契約制度であり、受給者と提供者は対等な関係であるが、むしろ受給者本位に考えればより良い満足度の高いサービスを提供することが提供者の責務であろう。


 私たちは、改めて介護サービスの本質と制度の理念を再確認し「接遇の重要さ」を再認識する必要があると思う

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【高齢福祉部通信34】高校への「出前授業」からー福祉人材の養成と確保・地域貢献ー

2015年9月 4日

 

この夏、高校の要請があり2校ほど社会福祉に関する出前授業を実施した。生徒の社会福祉に関する意識はそれほど高くはなく、景気回復の動向によって福祉系の大学・短大・養成校への進学希望は余り伸びていないようであった。


社会福祉に関する生徒のイメージは「車いす・障害者」「貧困・生活保護」「児童虐待・児童福祉」で、次いで「老人・認知症・孤独死」であった。高齢者福祉については年金・医療・介護など連日と言ってよいほど新聞・テレビのマスコミで報道されているが余り認識されていない。推測であるが、現在の生徒は新聞をあまり読んでいないこと、テレビについても社会情勢や社会問題を取り上げた番組を見ていないこと、などがその要因としてありそうである。


寄せられた感想文には授業を聞いて「初めて社会福祉を知った」「高齢者の介護など家族の状況がある程度理解できた」「これから関心を持ちたい」などがあった。ただ将来の社会福祉に関する進路については「保育士・幼稚園教諭」「医療事務」などが多く「社会福祉士」「介護福祉士」などはそう多くはなかった。


ただ、家族で高齢者を介護している家庭、親が介護施設で働いている家庭、兄弟に障害児童がいるなどの生徒は福祉系の希望が高かった。また、ボランティア活動を通して福祉に関心を持った生徒も少なくない。


 現在、施設は中学生の「体験活動」などを受け入れ、学生の実習生も積極的に受け入れているが、今後、夏休みなどを活用して「高校生福祉体験教室・講座」「高齢者に対するボランティア講座」などを開催する必要がある。日常業務で厳しい面もあるが、施設は地域住民への福祉教育の機能を有しており、地域貢献と施設の活性化の視点からも取り組んでいくべきと考える。

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【高齢福祉部通信33】「戦後70年」と高齢者福祉を考える

2015年8月11日

 間もなく8月15日、終戦記念の日を迎える。安保法制の議論が続く中の70周年でもある。私たちの施設入所者やデイケア・訪問介護など在宅の高齢者は年々高齢化、重度化の傾向にあるが、これらの対象者と戦後70年を考えてみた。


 私たちの事業の利用者の多くは、戦中・戦後の混乱期に生まれ、飢えに苦しみ、十分な教育を受けることも少なく、1960年代の高度成長期を「金の卵」と称され、必死に働き、我が国の高度経済成長を支えた70~80歳代後半の高齢者は「豊かな老後」を実感しているであろうか。また10代後半少年兵として戦場に駆り出され、また軍需工場で働かされた人々は90歳代を超えようとしている。これらの人の中には、体が不自由になり、また認知症などで施設・在宅の介護サービスを受けている人も少なくない。


 1963年(昭和38年)制定の老人福祉法は、その理念として「老人は長い間にわたり、社会の発展に寄与した者として敬愛される」と固定しているが、現実は低年金・介護問題・孤独死・自殺・認知症・事故死・虐待などその状況は「敬愛」にほど遠い感じがする。


 私たち北斗会・高齢福祉部事業の利用者は、まさに戦後の混乱期を生き延び、社会の発展に尽くした人生の大先輩であり、私たちはより一層「真心と敬愛の念」を持って支援し、残りの人生をできるだけ心豊かに過ごせるよう心新たにして取り組んでいく必要がある。


 職員向けの所内報で周知したところである。

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【高齢福祉部通信32】シルバーホーム「デイケア」の状況について

2015年7月 8日

 在宅の高齢者を対象にリハビリ・入浴・給食・レクなどを提供する「デイケア」の利用状況が好調である。デイサービスとの相違は「リハビリ」を中心に各種のメニューを組み合わせて取り組んであり、これらが利用者や家族の支持を受けていると思う。

 

 しかし、現場の対応は厳しいものがある。朝夕の短い時間帯での送迎は正に戦場のような忙しさであるが、職員のチームワークによって円滑に進められている。雨など天候の悪い時の送迎に気を使っているのが運転士・付き添いなどの介護職員である。彼らの送迎の対応がスムーズであることも利用率向上に寄与していると考えている。

 

 在宅の高齢者の場合は、一般的に外出など社会参加の機会が少ないし、家族状況・介護力の状況によって社会参加の機会は限定されがちである。一人でテレビを見るだけの生活は身体的機能にとどまらず、様々な機能の低下をもたらす。デイケアの狙いは単に身体的な訓練・機能向上だけではなく「こころのリハビリ」の要素も多く含んでいる。

 

 「出かける楽しみ・会える喜び・ふれあう温もり」が可能となる在宅支援の重要なサービスである。一人ひとりの利用者の状況に応じた個別ケアが求められるが、それを追求しつつ集団でしか味合うことのできない場所の設定も考えなければならない。

 

 利用時間が終了し、送りの時の利用者の「満足の笑顔」を願って職員が奮闘している。入所型施設ではなかなか味合えない現場の風景であろう。勿論、交通事故など細心の注意を払って運営している。梅雨が明ければ夏、デイケアの元気さも倍増するかもしれない。

 

 是非一度、宇都宮シルバーホームの「デイケア」を見学に来ていただきたい

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